骨粗鬆症治療薬の注意点(薬剤関連性顎骨壊死とは)
皆様、ご無沙汰しております。
みやリハ院長の宮崎義久です。当院のブログをご覧頂きありがとうございます。
3月以来の更新です。いつの間にか9月になっていました。
台風の直撃もありましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
当院では「地域の皆様の健康寿命のお手伝い」を目指しております。
整形外科としては骨格の健康を維持する目的で、骨粗鬆症の治療による骨折予防は重要な課題です。
治療方法は患者様の状態に応じて、内服や注射を選択します。
治療薬は色々な種類がありますが、内服剤はビスホスホネート製剤、注射剤は6ヶ月に1回の割合で使用するデノスマブという薬剤を使用することがあります。
腫瘍などに対する治療では、高容量を使用しますが、骨粗鬆症の治療では低容量を使用します。
この2つの薬剤は、歯科領域で歯周病や抜歯を行う際などでトラブルがあることが知られております。
「顎骨壊死」という顎骨の骨髄炎を起こすリスクがあると言われています。
まだ不明な点が多いため、専門分野の学会が共同で病態や管理のガイドラインが定期的に更新されています。
昨年の2023年に発表された最近のガイドラインでは、骨粗鬆症の治療薬だけではなく、様々な薬剤や合併症、生活習慣が原因リスクであると分かってきたため、「薬剤関連性顎骨壊死」(MRONJ)という名称に変更されています。
ガイドラインの内容をかなり簡単に抜粋すると、骨粗鬆症の治療を目的とした低容量の使用でのMRONJの発生頻度は
ビスホスホネートでは、135,2/10万人で、デノスマブでは、124,7/10万人
その他のデータによると、発生頻度は、ビスホスホネートでは0,104%、デノスマブでは0,133%
また、兵庫県の調査では、骨粗鬆症の治療で発生したMRONJの割合は、ビスホスホネートが85,5%、デノスマブが14,5%の報告があります。
歯科医院から骨粗鬆症の治療中の患者様が抜歯を行う際に、顎骨壊死のリスクに対し、薬剤の休薬についての相談を頂くことがあります。
最近の検知では、休薬による歯科治療のリスクに変化は無いことが報告されております。
まだまだデータが足りないため、確立されたガイドラインはありませんが、当院では状況に応じて、歯科医院の依頼に対し、一定期間の休薬や、注射の使用時期をずらすことで対応しております。
歯の健康も重要であることは十分理解できますが、整形外科の立場では、骨粗鬆症による骨折リスクも健康寿命に対し、かなり重要であるため、当院としては慎重に歯科医院の先生方と連携を取りたいと考えています。
ちなみに、日本臨床歯周病学会のホームページに記載されている歯周病のセルフチェックでは
1.口臭を指摘された・自分で気になる
2.朝起きたら口の中がネバネバする
3.歯みがき後に、毛先に血がついたり、すすいだ水に血が混じることがある
4.歯肉が赤く腫れてきた
5.歯肉が下がり、歯が長くなった気がする
6.歯肉を押すと血や膿が出る
7.歯と歯の間に物が詰まりやすい
8.歯が浮いたような気がする
9.歯並びが変わった気がする
10.歯が揺れている気がする
チェックが1〜3個の場合
歯周病の可能性があるため、軽度のうちに治療を受けましょう
チェックが4〜5個の場合
中等度以上に歯周病が進行している可能性があります。早期に歯周病の治療を受けましょう
チェックがない場合
チェックがない場合でも無症状で歯周病が進行することがあるため1年に1回は歯科受診を受けましょう
となっています。私としても人ごとでは無いため、定期的に歯科医院に受診しています。
今回の投稿は文字ばかりで、申し訳ございません。
投稿日:2024年09月01日