院長ブログ

エコーの活用法(指の腱鞘炎)

皆様、おはようございます。
みやリハ院長の宮崎義久です。福岡県は非常事態宣言は解除されたものの、第2波が気になるところです。
私も不特定多数の接触を出来るだけ避けたいと思い、車通勤に切り替えました。

当院の診察室には、超音波検査器(エコー)を設置しております。
超音波の反射を利用した器械のため、放射線のように被爆を気にする必要がありません。
また、最近はかなりコンパクトになったので、診察室内にも置くことが出来ます。一番の利点は、患者様と一緒に画像を確認できることです。
私は手外科専門医のため、指の診察に使用する機会が多いです。特に腱鞘炎は患者様に好評です。

指は腱で動いています。伸ばす腱は伸筋腱、曲げる腱は屈筋腱と言います。
特に、曲げた際に屈筋腱が浮き上がらないように抑えておく働きが靭帯性腱鞘というトンネルになります。

屈筋腱と靭帯性腱鞘の間で何らかの原因で炎症が起こると、指を曲げたときに痛みや引っかかり感が生じます。
この状態を腱鞘炎と言い、進行すると引っかかり感が増強し、ばね指症状が出現します。


当院では患者様と一緒にその状態をエコーで確認しております。
まさに「百聞は一見にしかず」ということわざにぴったりだと思います。
エコーは指に対し縦方向と横方向で確認します。
まずは縦方向で確認して頂くと、指の構造が理解しやすいです。

この画像では屈筋腱のトンネルである腱鞘の天井部分(横長い黒い部分)が炎症で肥厚していることが確認できます。
ちなみに、骨は強く超音波を跳ね返すので、白く写ってきます。骨の継ぎ目が写っているので、指の付け根の関節部分にエコーを当てています。

次に、横方向では屈筋腱に対し、トンネル構造をした腱鞘が炎症で肥厚している(腱を取り囲む、厚く黒い部分)ことが確認できます。
特にとなりの指と比較すると、正常なトンネルの状態(腱を取り囲む、薄い黒い部分)がわかりやすいですね。

治療に対しては、当院はクリニックで有るため、まずは保存的治療をお勧めしています。
初期症状であれば自宅でも出来る運動療法で、進行期であればステロイド注射を行っております。

指に対するお困り事もお気軽に相談下さい。
できる限り手術を回避する治療方法を考えるのも「健康寿命のお手伝い」と考えております。

投稿日:2020年05月31日

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